アスカ薬局で薬歴カードをつくりはじめたのは、昭和38(1963)年の開局時からです。
以来、日本薬剤師会でもこの試みをもとに薬歴管理の重要性を一貫してうったえ、近年ひろく活用されるにいたったのは嬉しいことです。
アスカ薬局はいわば、「薬歴管理第一号店」というわけです。
薬歴を管理することの利点は、患者さんが複数の医療機関で処方された薬の飲み合わせによってこうむる相互作用・副作用等を薬剤師がいちはやく把握し、適切なアドヴァイスをおこなえる点です。
ある症状にはたいへん効果のある薬も、別の薬と併用することにより、効き目がおちてしまったり、深刻な副作用をおこしたりします。
そんな危険性をすばやく察知し、患者の皆さんにお知らせして対策を講じていくのが、リスク・マネージャーたる薬剤師の仕事なのです。
お釈迦さまが涅槃につかれた時、それを悲しんだ母親の摩耶夫人が天から薬袋を投げ降ろしました。
この薬袋はざんねんながら木の枝にひっかかってしまい、お釈迦さまは亡くなってしまうのですが、これが「投薬」という言葉の由来です。
「調剤」「投薬」という業務をおこなう時は、常に、このお釈迦さまのお母親のような慈悲の心をもって薬を患者さんのもとにお届けできるよう心がけております。
今後とも、なお一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。
元日本薬剤師会会長
佐谷 圭一