HOME > 提言・アピール・記事 > 薬学教育  

分野別 提言・アピール・記事

 

薬学教育における「薬害教育」の充実を

 中央教育審議会(中教審)の「薬学教育の充実・改善について」(中間報告)がまとまり、1月21日文部科学省により、これに対する「パブリック・コメント」が募集されました。   

 新薬学研究者技術者集団ではこれに対し、薬学教育における薬害教育の充実を論点として、意見を2月4日に提出しました。


薬学教育における薬害教育の充実についての意見

        新薬学研究者技術者集団

  中間報告には、「近年の医療技術の高度化、医薬分業の進展等に伴う医薬品の安全使用や薬害の防止といった社会的要請に応えるため」、薬学教 育の充実を図ることが必要であるとの重要な指摘があります。また、2002年8月に作成され、今回の中間報告に引用されている日本薬学会の「薬学教育モデ ル・コアカリキュラム」にも、「医薬品の開発と生産」の節においてですが[薬害]の項があり、「代表的な薬害の例(サリドマイド、スモン、非加熱血液製 剤、ソリブジンなど)について、その原因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段を討議する。(知識・態度)」との重要な到達目標が記されてい ます。

  医薬品は本質的に両刃の剣であり、使い方を誤れば重大な結果をもたらします。我が国では悲惨な薬害が繰り返されてきた経緯があり、これらの教訓 に学び、医薬品などに起因する健康被害を可能な限り未然に防止し、発生した時は最小限にとどめることが国家的な課題ともなっています。そのためには、全国 民が薬害について知り、その防止と早期の対処に努めることが大切です。とりわけ薬剤師や創薬研究者など薬学人は、過去に残念ながら加害者側にまわってし まったことがある事実を厳粛に受け止めるとともに、医薬品の適正な開発と使用に対し社会に果たすべき責任を怠れば、今後も加害者になる可能性があるだけ に、薬学教育のなかで薬害について必須科目として十分な教育を受け、その防止と早期の対処に率先して努めることが要請されています。

  私たちは、薬害教育の重視が、6年制学部のみならず、創薬研究者などを教育するとされている4年制学部にとっても非常に重要な課題であると考えます。最終報告では、この趣旨を明示した提言を行って頂くよう強く望むものです。

                     以 上