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分野別 提言・アピール・記事

2012年3月19日

日本薬学会 会頭 西島正弘様

 

スイッチOTC候補成分の選定にかかわる日本薬学会の業務についての情報公開を求める要望書

 

新薬学研究者技術者集団
代表代行 早川 浩司

 

1. 要望の内容
 日本薬学会の、スイッチOTC候補成分の選定についての、基本的な考え方(理念)、具体的な選考基準と選考方法、選考のための組織的な体制などについて、情報を公開していただきたい。

 

2. 要望の理由
 私たちは、国民の健康と生命を守る立場から、薬学の成果が医療・保健・環境などの分野で正しく生かされるよう活動している薬学研究者技術者の全国組織(創立1969年)です。
 一般用医薬品については、薬事法25条で「医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの」と定義され、その販売における薬剤師の役割が明確化されました。
 2009年6月に開始された新たな一般用医薬品販売制度において、一般用医薬品はリスクの程度に応じて3分類され、医療用から一般用に転用されたスイッチOTC成分は、当初は第1類に分類され、薬剤師による販売・情報提供が義務付けられています。
 このスイッチOTC候補成分については、2007年3月に厚生労働省が、「関係学会の意見を聴いた上で、薬事・食品衛生審議会において討議・公表することにより、その転用を、透明性を図りつつ、推進するスキーム」を薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会の了承を得て、定めています。
 このスキームに基づき、厚生労働省は日本薬学会にスイッチOTC候補成分の選定を委託し、その結果について日本医学会およびその分科会である100有余の医療関係学会の意見を求めています。しかし、これまでに日本薬学会が選定したスイッチOTC候補成分に対しては、これらの医療関係学会から多くの反対意見が寄せられてきたこともあり、このスキームが十分に機能していないとする見方もあります。
 このような状況を打開するため、厚生労働省は医療関係学会からの反対意見を公表するなど透明性を高める対処を行っており、貴学会も医療関係学会との懇談を提案されるなどの努力をされていると報道されています。また、日本OTC医薬品協会のウェブサイトに掲載されている平成22年度厚生労働科学研究「スイッチOTC医薬品の選定要件及び一般使用が求められる検査薬等に関する研究」総括研究書によると、貴学会では「医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用に係る候補成分検討調査委員会」を組織し、一定の選定条件・選定方法などに基づいてスイッチOTC候補成分の選定に取り組まれているとのことです。
 ところが、貴学会が担当されているスイッチOTC候補成分の選定に関して、貴学会から公表された情報には、これまでのところまったく接することができません。
 医薬品のスイッチOTC化の問題は薬剤師・薬学関係者にとってかかわりの深い問題です。そのあり方について、現場の薬剤師などより広い層の人々が議論に参加して行けるような環境を整えるうえからも、スイッチOTC候補成分の選定に関する貴学会の基本的な考え方(理念)、具体的な選考基準と選考方法、選考のための組織的な体制などについて、学会の内外に対して広く情報を発信されることが重要であると考えます。
 つきましては、これらの情報について、広く国民に対して積極的に開示されることを要望いたします。

以上

  
 新薬学研究者技術者集団 (略称: 新薬学者集団)
 所在地: 555-0024 大阪市西淀川区野里3-6-8 (有)大阪ファルマプラン・あおぞら薬局 気付
 電話: 06-6477-8080(担当 奥村)
 代表代行: 早川浩司
 事務局長: 川上美登里
 ホームページ:  http://pha.jp/shin-yakugaku/
 Eメール:  shin-yakugaku@tea.ocn.ne.jp