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厚生労働省にロキソプロフェンのリスク分類変更反対のパブリックコメントを提出
 

 ロキソプロフェン水和物を含む一般用医薬品の 区分を第一類から指定第二類に変更することについてのパブリックコメントが2014年10月22日提出期限で意見募集されました。
 新薬学者集団は、同薬の副作用発現状況から薬 剤師の管理を離れる指定第二類への変更に反対する意見書を2014年10月21日に提出しました。

 

意見内容
このたびの、ロキソニンプロフェンナトリウム水和物を含む一般用医薬品のリスク区分を第一類から指定第二類へと変更しようとする厚労省の提案に対して、反対します。


理由

この件に関して厚労省の提示する資料のうち、「新一般用医薬品製造販売後調査報告書」には、ロキソニンプロフェンナトリウム水和物による副作用について、次のようなデータが示されています。

 

ロキソニンプロフェンナトリウム水和物が医療用として使われた平成16~24年までの8年9か月の間に1,354例の副作用報告があり、うち死亡例が62例、一般用として使われた平成23~24年までの2年の間では8例の副作用報告があり、うち死亡例が1例であった。


 この副作用報告数を月割りにすると、医療用で12.9件/月、一般用で0.3件/月の副作用となり、一見、一般用での副作用が少ないように見えます。一方、副作用発生件数に占める死亡件数の割合は、医療用で4.6%、一般用で12.5%と、一般用が高くなります。調査期間に差があるので一概には比較しにくいのですが、このことは、一般用では服用患者の実態が把握しにくいため副作用件数が低率となり、副作用発生時の対応も適切に行いにくいため死亡率が高くなったと考えられます。また医薬品医療機器総合機構(PMDA)における医薬品副作用データベースに基づく報告1)によれば、ロキソニンプロフェンナトリウム水和物の副作用報告件数は2004~2012年の9年間で16,625件、月割りにすると約154件であり、上記調査結果に比べて10倍以上の高率となります。

 調査方法の違いによりこのような大きな差異が出ることが考えられ、患者にとって致命的な副作用が出ることもある本薬剤について、厚労省管轄下調査結果による審査だけで、医師や薬剤師の管理から離れる指定第二類医薬品に区分変更されることのないよう要望します。幅広く副作用情報を集め、その結果を全て公開されることも要望します。

 

引用文献
1)前田玲.医薬品安全性監視の観点からJADERについて考える;薬剤疫学 19(1) 51-56(2014).