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 2011年1月7日、大阪地裁と東京地裁は共同で、イレッサによる間質性肺炎の副作用被害について、国とアストラゼネカ社の注意喚起が不十 分であったことを指摘し、間質性肺炎を発症した患者らの救済をはかる責任があるとの見解を示すとともに、早期の公平かつ全面的な解決に向け、和解勧告を行 いました。これに対し、原告側は受諾を回答していますが、被告側はまだ態度を明らかにしていません。

 このため、当集団では2011年1月24日付で、国とアストラゼネカ社に和解協議に応じ、解決に向け真摯に努力するよう求める要請書を提出しました。


内閣総理大臣 菅 直人 殿
厚生労働大臣 細川 律夫 殿
アストラゼネカ株式会社 代表取締役 加藤 益弘 殿

2011年1月24日
新薬学研究者技術者集団

イレッサの和解協議に応じることを求める要請書

 肺がん治療剤イレッサは、承認販売後 半年間に間質性肺炎などの死亡例が180人に上るという、他の抗がん剤と比べても桁違いに多い未曾有の健康被害をもたらしました。

 被害患者からの提訴を受け6年にわたり審議してきた大阪地方裁判所と東京地方裁判所は2011年1月7日、本件紛争を早期に公平かつ全面的に解決するには、和解の枠組みによるのが望ましいとして、和解勧告を行いました。

 裁判所が和解勧告のなかで、被告国と被告企業の間質性肺炎の副作用についての注意喚起が不十分であったことを指摘し、間質性肺炎を発症した患者らの救済をはかるべき責任があるとしていることは非常に重要です。

 裁判所は、関係当事者が速やかな和解による解決に向けて真摯かつ積極的な努力をつくされることを望むとしています。

 原告側はすでに全面的な補償、がん患者の人権回復、抗がん剤の副作用死に対する被害救済制度の確立、わが国で繰り返される薬害の防止対策の確立という基本的な原則を掲げて和解協議の席につくことを明らかにし、裁判所に和解勧告の受諾を回答しています

 私たちは、国とアストラゼネカ株式会社が、和解勧告を受諾し、協議の席につき全面的な解決に向け真摯に努力されることを強く要請します。