HOME > 提言・アピール・記事 > リプロダクティブヘルス  

分野別 提言・アピール・記事

厚生労働省に緊急避妊薬の承認審議に際してパブリックコメントを提出

 望まない妊娠を防ぎ人工中絶を回避する緊急避妊薬レボノルゲストレルは、WHO(世界保健機関)の必須薬リストに掲載され、多くの国ですでに緊急アクセスを考慮してOTC化が進んでいます。日本でもやっと医療用医薬品としての承認審議がされることになり、 パブリックコメント募集がされました。

 新薬学者集団運営委員会では2010年12月9日、パブリックコメント募集に応じ、承認されることを強く望むこと、将来は一般用医薬品としても早期に認められることなどを要望する意見を提出しました。


ノルレボ錠0.75mgの医薬品製造販売承認に関する意見

2010年12月9日

新薬学研究者技術者集団運営委員会

 今回の経口緊急避妊薬「ノルレボ錠」の製造販売承認に関するパブリックコメント募集に意見提出致します。

 本剤の有効 成分レボノルゲストレルは、望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬として、人工妊娠中絶を回避することができ、レイプ被害者への緊急対応にも有用です。悪心・嘔吐 などの副作用が少ないとは言えませんが緊急時のものとして許容され、「安全で有用性の高い緊急避妊薬」として世界48カ国以上で承認されています。世界保 健機関(WHO)の「必須薬モデルリスト」にも、1999年の改定以来レボノルゲストレルが収載されています。多くの国で緊急時のアクセスを考慮して OTC化が進んでいます。OTC薬が購入者の手に届かないところに保管・販売されるなど医薬品の取り扱いが厳しいことで知られるフランスでも、緊急避妊薬 が学校保健室に常備され、与薬が認められています。

 わが国にはこのような緊急避妊薬がなく、女性の多くが掻爬による妊娠中絶を行っている現状があり、アクセスしやすい緊急避妊薬はとりわけ必 要性が高いものです。希望するときに希望するだけの子どもを安全に生むことができる権利は保証されなければなりません。日本家族計画協会と日本助産婦 (師)会は2002年に、「緊急避妊薬の日本への導入に関する要望書」を厚生労働大臣に提出しています。
私たちは、今回のパブコメ募集に際して、「ノルレボ錠」が承認されることを強く望みます。そして、服用までに72時間以内の制約があるため、購入者からのアクセスを考慮して将来は一般用医薬品としても早期に認められることを要望致します。

 本剤に関しては、正確な情報が購入者に十分に伝わる社会環境を整えることが大切です。医療関係者のみならず、教育者、保護責任者も正しい情 報を把握し、当事者を支援できる体制をとることが必要です。とりわけ、薬学関係者・薬剤師の役割は重要です。本剤の効能、用法、副作用を当事者に適切に伝 えるとともに、そのプライバシーにも配慮しつつ対応する必要があります。本剤の販売にあたっては、このような環境整備への配慮もなされるべきであることを 要望致します。