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自衛隊のイラクからの即時撤退を求めるアピール

2004年5月14日
新薬学研究者技術者集団

 アメリカがイラクに対して大量破壊兵器の保有を理由として一方的な武力攻撃を開始してから1年以上が経過しました。この間,日本政府は,国内 世論の反対を押し切って,自衛隊のイラク派遣を強行しました。アメリカの「逃げるな」という脅しとも言える強硬な求めにしたがったものです。

 もともとアメリカのイラク先制攻撃は,国際法や国連憲章に違反するものであり,その口実とされた「イラクの大量破壊兵器」もいまや幻の存在と なっています。このような状況のもとでイラクに自衛隊を派遣することは,大義のないアメリカの侵略的行動の一翼を担うことにほかならず,自国の主権の回復 を願う広範なイラク国民を敵に回す行為となることは避けられません。

 また,自衛隊のイラク派遣が,不戦の決意を表明した憲法前文と武力の行使を禁止した第9条に違反することは明白です。

 さらに最近のイラクは,アメリカの占領政策に抵抗するイラク国民に対する米軍の軍事制圧路線のもとで,全土が「新たな戦争状態」に入ったと伝えら れています。政府が自衛隊のイラク派遣のための根拠法として制定したイラク特措法では,自衛隊の活動を「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施 される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」と定めていますが,イラクの現状のもとでなお自衛隊の派遣を継続することは,こ の特措法の規定にすら明白に違反する行為です。

 これまで私たちは,戦争は最大の健康破壊であるとの考え方から,戦争と科学の軍事利用に反対する立場を重視してきました。私たちは,上記の理由から,政府が自衛隊をイラクから即時撤退させることを強く求めます。

 アメリカと「連合」国による不当・不法な占領行為へのイラク国民の抵抗運動をテロと言いくるめ,「テロには屈しない」というすり替えの論理で自衛隊の派遣を正当化することは許されません。

 政府・与党自らが,自衛隊のイラク派遣に賛成しない国民を「非国民」「反日分子」などと呼んで,国民を否応なしに時の政府の政策に従わせようとする「戦時体制」づくりを進めることは許されません。