HOME > 提言・アピール・記事 > 憲法・平和  

分野別 提言・アピール・記事

安倍政権の「戦争法案」に反対するアピール

2015年5月30日
新薬学研究者技術者集団2015年度総会

 2015年5月15日,安倍政権は,「国際平和支援法案」と称する新たな法案と,既存の自衛隊法,周辺事態法,PKO協力法など10の法律を一括して改定する「平和安全法制整備法案」とを併せて国会に上程しました。これらの法案に対しては,その本質を突いた「戦争法案」という呼び方がすでに広く定着しています。

 これらの法案は,「憲法9条の下でも集団的自衛権を行使できる」とした安倍政権の閣議決定(2014年7月1日)にその基礎を置いています。

 「国際平和支援法案」は,自衛隊の海外派兵恒久法であり,これまで「非戦闘地域」に限定していた自衛隊の「後方支援」の範囲を,米軍などの「戦闘現場隣接地域」にまで拡大するものです。両法案は,「イラク特措法」におけるような時限的制約や,「周辺事態法」におけるような地理的制約を受けることなく,いつでも,どこへでも自衛隊の海外派兵ができ,武器使用の制限をも緩和しようとするものです。また,他国への攻撃が日本の存立危機になる事態(「存立事態」)と判断されると,日本が攻撃されていなくても,自衛隊が参戦することになります。

 安倍政権は,これらの法案提出に先だって,「憲法は集団的自衛権の行使を認めていない」とする歴代政府の判断を一片の閣議決定(2014年7月)で反故(ほご)にする一方,米国との間では「日米防衛協力のための指針」(日米ガイドライン)に合意し,日米首脳会談,米国議会での安倍演説などでこれらの法案の「この夏までの成立」を約束してきました。安倍政権は,このような重大な決定にあたって,主権者である自国の国民や議会には何も知らせず,国民の声には耳を閉ざし,もっぱら米国の意向に付き従って事を進めてきました。このような政治手法自体も,立憲主義を支える柱としての国民主権の原則を大きく踏み外しています。

 これまで私たちの集団は,国民の生命と健康を守る立場から,薬学の正しいあり方を追求し,医療,保健などにかかわる分野で,科学の成果が正しく生かされるようつとめてきました。同時に,戦争は最大の健康破壊であるとの考えから,戦争とその準備につながる動きに一貫して反対してきました。

 このような立場から,私たちは,安倍政権による「戦争法案」の国会上程に強く反対し,その廃案を求めます。

以上